ごとうゆうの本棚

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本好きのごとうゆうが読んだ本の感想などを気まぐれに紹介していくブログ

『四畳半神話体系』

 こんにちは🌞

暑いですねー💦


そんな暑さを吹き飛ばす笑いの本をご紹介します🎵

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四畳半神話大系 (角川文庫)


基本データ

『四畳半神話体系』
出版社:KADOKAWA
価格:680円
ジャンル:小説
読了日:2019年8月2日
 

感想

森見さんの小説を読んだのは、今回が二度目。

何故か、記念すべき一冊目が手元に残っていないのだが。

確か『新訳 走れメロス』だった気がする。

あの時もお腹を抱えて笑い転げながら読んだが、今回も笑いに笑った。

 

今作は、4つのパラレルワールドのお話。

主人公が出会う、4つの不思議なサークルにそれぞれ入って起こった出来事をつづったほろ苦いんだかドタバタしてるんだか、とにかくいろんなものがパンパンに詰め込まれている青春ストーリー。

映画サークル「みそぎ」、「弟子求ム」という謎の話、ソフトボールサークル「ふわふわ」、秘密組織「福猫飯店」、この4つの組織それぞれで出会う、小津という謎めいた悪友。

最終話では、その4つの世界の旅が始まってしまう。

彼の四畳半が延々と続く、外に出られない不思議な空間に閉じ込められてしまうのである。 主人公はそれぞれのサークルに属していた過去を回想し、失敗やら現在の不遇やらを思い起こし、過去の2年間を「棒に振った」と後悔し、その責任を小津に転嫁する。

 

この作品は登場人物がとても魅力的である。 跳梁跋扈暗躍し放題の、主人公の悪友である小津、理知的な黒髪の風貌の明石さん、酔うと人の顔を嘗め回すという悪癖を持った羽貫さん、小津の師匠であるというらしい樋口師匠……。

皆個性が強い。よく主人公はつぶれなかったなぁと思うと同時に、それだけの何かを彼も持っていたのである。

樋口師匠は、神を名乗ってみたり(真偽不明)、小津に様々なものを所望したり、映画サークルの主、城ケ崎なる人物と代理戦争を繰り広げてみたり、はっきり言って全然師匠らしくはないのだが、こんな名言を残している。

(この代理戦争とは一体何なのかは作品で確認してほしい。あまりに馬鹿馬鹿しくて楽しいから。)

 

「可能性という言葉を無限定に使ってはいけない。我々という存在を規定するのは、我々がもつ可能性ではなく、我々がもつ不可能性である」

 

これは、主人公と悪友小津の対比を表している。

「自分には可能性がある」と信じ、キャンパスライフに夢を描き、不可能性にはまっていくのに対し、小津は何をも恐れない。

だから不可能を可能にする。主人公が1つずつ所属したサークルに同時に参加し、つまりは主人公が4話かけたところを1話で暗躍し、好き放題やらかしてみたり、サークルの重鎮となったり、恋人まで作って、まるで主人公が求め続けた「薔薇色のキャンパスライフ」を実現してしまうのだ。下宿までなんだかいい感じのアパートなのだから。

 

どうだろう?ただ面白おかしい青春小説ではない。

ただのパラレルワールド×青春小説に見せて、意味深なメッセージが含まれていた。

森見作品にハマりそうな気配がする。

 

最後に一言

ただの鬱屈した大学生の過去2年間の回想ストーリーだと思っていた。

正直、娯楽というか、気楽な気分で読むつもりだった。

それが、樋口師匠のあの名言で違ってしまった。

明確だけれども巧妙に隠された二項対立が目の前に現れた時に、何という小説なのだろうと驚愕した。

主人公と小津の二項対立によって、我々に、普段何気なく使っている「可能性」という言葉について疑問を投げかけている。

(そういうつもりで書いてなかったらごめんなさい、森見先生。)

しかし、そういうつもりで書いていなくても、森見先生は主人公をパラレルワールドの中心に据えて、あそこまで小津という人間を自由にしたのだから、無意識下にそういう思いがあったのでは、という推測もあながち邪推ではないだろう。

もちろん、肩ひじ張って読むというのは似合わない。自由にパラレルワールドを楽しむのが似合っている。

心も頭も開け放って、ぐるぐるとしたこの物語の渦に巻き込まれてもらいたい。