ごとうゆうの本棚

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本好きのごとうゆうが読んだ本の感想などを気まぐれに紹介していくブログ

『モーツァルトのいる休日』

 こんにちは。

暑いですね☀️😵💦

ごとうは夏バテ寸前です。

というか、既に体調を崩しました。

皆さん、熱中症には気を付けて。


さて、今週の本はこちら📙

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モーツァルトのいる休日 ~大人の楽しむクラシック~ (マイナビ新書)


基本データ

モーツァルトのいる休日』
著者:石田衣良
出版社:マイナビ出版
価格:850円
ジャンル:エッセイ
読了日:2019年7月27日
 

感想

また良書に巡り合ってしまった。

石田衣良さんの、モーツァルトについてのエッセイ。

 

彼がどういう理由でモーツァルトが好きか、モーツァルトを聴くコツ、モーツァルトの「曲にまつわるエピソードを披露してくれる第一部、数ある名曲の中から彼オススメのモーツァルトをセレクトして紹介してくれる第二部、そして、大人のためのクラシック論、ということで作曲家の加羽沢美濃さんとの対談が収録された第三部の全三部構成である。

 

石田さんと加羽沢さんは、NHKの「ららら♪クラシック」という番組で司会を務めていた名コンビ。

加羽沢さんのことをこの番組で知って、好きになった私としては、対談が収録されていると知ってびっくりして買わずにはいられなくなり、本屋をかけめぐった。

(そういう本に限って往々にして近くで手に入らないこの現象を何と言うのだろう。)

 

石田さんは流れるような文章で、モーツァルトの魅力を解説していく。魅力を生み出した彼の人生の幸不幸も、そんなモーツァルトと向き合ってみるためのコツや、デートへの活かし方まで(笑)教えてくれる。

一体彼はどうやってこんなに多くの人を魅了したのか。

研ぎ澄まされたテンポ感や聴衆の期待を裏切らない構成や展開、それらが合わさって数々の名曲が生み出されたと石田さんは語る。

確かに、モーツァルトの音楽は流れるようなテンポで、最初聴いた瞬間から聞き手を自分のフィールドに引きずり込む名手である。

彼がそれを意図して曲を書いていたのかは微妙だが。

 

石田さんは、モーツァルトだけでなく、クラシック、音楽に触れる時、「人生を楽しむ感じ」と書いている。

将来の夢というものを何に付けても聞かれるこの日本で、「夢を持たなければいけない」と考えすぎている、と危惧している。

「そんなに夢をもってなければいけないのか」と。

それより「何が本当に好きなのか、何が本当に楽しいのかを感じ取る力」を大切にしてもらいたいと石田さんは語る。

その感じ取る力があってこそ、心の余裕があってこそ、音楽や小説を楽しむことが出来る、と。 「人生を楽しむ感じ」を忘れないでほしい、と。

 

石田さんオススメのモーツァルトは、どの曲も魅力的なのだろうが、そこをあえて簡潔に紹介している。

一つ一つが簡潔に紹介されているから、そうか、こんな曲も、あんな曲もあるのか、とさくさく読み進めることが出来、また実際に聞いてみたくなる。

収録されているのはこのCDですよ、という紹介がついているのもありがたい。

 

加羽沢さんとの対談では、軽妙なトークが展開され、加羽沢さん自身のエピソードも知ることができて、加羽沢さんの(いわゆる俄ですが、)ファンとしてはまた楽しいのではないでしょうか。

だって、加羽沢さんが実は幼少期にモーツァルトでつまずいてて、モーツァルト嫌いだったなんて信じられないでしょう?

「ららら♪クラシック」の延長戦みたいな感じの優しい空気で対談が進んでいく、そして、大人たちにこそクラシックをちょっとした贅沢、といった感じで楽しんでほしいとエールを送って締めくくっている。

 

文章の名手、作曲の名手、人生を楽しんで活躍されている二人に応援してもらった今こそ、モーツァルトに、クラシックにダイブする絶好のチャンスではないだろうか?

 

最後に一言

この本の中には数々の名言が登場します。

出来ることなら全部に線を引いて紹介したいくらい。

そんなことしていたら、この本のほとんどを引用しかねないのでできませんが。

石田さんの、「人生を楽しんでほしい」という思いに満ちた文章は、何となく生き苦しくなっている私たちの胸に刺さる。

最後に、一番胸に刺さった言葉でこの記事を締めくくりたいと思います。

 

『実は本当に一番素晴らしいのは、芸術そのものではなくて、それを「素敵だ」「おもしろい」と感じることができる人の心である。』

 

最後の最後に余談。 私はこの本を読んで、モーツァルトでなく、現代音楽のスティーヴ・ライヒにハマりました。

そういう思いがけない出会いがあるのも読書の魅力ですね。