ごとうゆうの本棚

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本好きのごとうゆうが読んだ本の感想などを気まぐれに紹介していくブログ

『偉大なる失敗 天才科学者たちはどう間違えたか』

 こんにちは。

日本の一部は梅雨明けしたらしいですね。

私の住む関東も早く梅雨明けしてほしいものです。

今日はずいぶん暑く夏空が広がっていますが。

(週末に来るとかいってる台風も心配。)


さて、今週の本はこちらです。

久しぶりに科学ノンフィクション📙


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偉大なる失敗──天才科学者たちはどう間違えたか (ハヤカワ・ノンフィクション文庫〈数理を愉しむ〉シリーズ)


基本データ

『偉大なる失敗 天才科学者たちはどう間違えたか』
著者:マリオ・リヴィオ(訳:千葉敏生)
出版社:早川書房
価格:1040円
ジャンル:ノンフィクション
読了日:2019年7月25日
 

感想

ダーウィン、ケルヴィン、ポーリング、ホイル、アインシュタイン……

皆、科学史に輝かしい業績を残している偉大なる科学者たち。

彼らは天才と呼ばれてしかるべき頭脳の持ち主であり、その才能を研究で遺憾なく発揮し、科学の発見に多大な貢献をした。

 

そんな彼らでも間違いを犯すことがある。

失敗や間違いと無縁の超越した存在に見える彼らだが、実は大きなミスをしているのだ。

しかし、そのミスもその先の研究の原動力となったり、のちに誤りではないことが判明したり、ミスや失敗ですら超越している。

その彼らのミスを解読していくのが本書である。

彼らが一体どんな研究を成し遂げたのか、そこでどんなミスを犯したのか、それは何故だったのだろうかを考察している。

メインは彼らのミスに焦点を当てて、原因に迫っていく、なかなかない視点の本だったので思わず手に取ってしまった。

彼らがこんな間違いをしました、原因はこうです、という話だけでなく、そもそも彼らが取り組んでいた研究について最初に紹介されているところが親切である。

そうでないとただでさえ専門用語のオンパレードとなりがちな、科学ノンフィクションはさらに難解なものとなってしまい、読者が限られてしまう。

そこを、まず科学者たちが抱えていた課題、また研究成果から紹介、解説してくれているため、科学に専門知識がない人たちも読み進めやすい構成になっている。

おかげで自分も専門知識はないが、読み進めながら知識を得て読了することが出来た。

この構成を取った著者のセンスもそうだが、訳者の読み解く力もさすがのものである。

時として、直訳になりがちな科学ノンフィクションを、素人にも読みやすく訳している。

久しぶりに当たりに巡り合った、という感を得た。

 

にしても、天才科学者たちのミスは並外れている。

後進の研究の貴重な資料となり得たり、後に間違いではないことが証明されたりと、大きく科学の発展に貢献しているのだから。

そんな天才も誤った原因はなんだか我々凡人たちと似通ったところがあったりする。

著者はその過ちと人間の脳の性質や関係を解きほぐしてみようと試みている。

自分の情熱を注いだ研究に愛着がわいてなかなか新しい説を認められなかったり、過去の成功体験が仇となったり、予期せぬ可能性を無視してしまったり、というのは、我々にも認められるところではないだろうか。

やはり天才といえども、彼らは人間である、と少し親近感が湧いたりもする。

それでも並外れた天才だから、ほんの少ししか湧かないが。

かなり遠い人間に思うのは変わりない。

 

彼らの人間らしさにスポットを当てて、彼らの業績とともに紹介したこの本は名著だった。

 

最後に一言

科学についての専門知識がなくても楽しく読めます。

しかし、少しばかりの一般的知識があることを前提に書かれているので、名前だけでも知識がある状態で読むことをお薦めします。

最終的に研究の内容については理解を超えてくるので、寝る前に読むとぐっすり眠れるでしょう。

専門的な部分もありますが分からないと思った箇所は、読み飛ばしても、メインである失敗の原因考察は分かりやすく書かれているので、大丈夫だと思います。

科学ノンフィクションだから、とためらうより、まず手に取って、科学の海を漂うつもりで新たな脳への心地いい刺激を受けてもらいたいです。